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lunes, 21 de marzo de 2011

THE MONKEY AND THE CRAB. JAPANESE TALE



さるかに Sarukani
The Monkey and the Crab

ISBN4-591-03702-9 C8739 P1000E

Translation by Tom Ray and Atsushi Shimojima (ashimoji@mic.atr.co.jp)


page 2

むかし、 ある 山(やま) の ふもと に、
一(いつ) ぴき の かに が いました。
ぽかぽか と あたたかい 春(はる) の 日(ひ) の
こと です。 かに は ちかく の 川(かわ) の
ほとり を、 のんびり さんぽして いました。
すると、 だれ が おとして いった の か、
草(くさ)むら に 大(おお)きな にぎりめし が
ごろん と ひとつ、 おちて いました。
「これ は、 いい もの を みつけた よ。」

--

むかし、 ある 山 の ふもと に、 一 ぴき の かに が いました。
Long ago, at the foot of some mountain, there was one crab.

ぽかぽか と あたたかい 春 の 日 の こと です。
It happened on a comfortably warm spring day.

かに は ちかく の 川 の ほとり を、 のんびり さんぽして いました。
A crab was walking liesurely along a nearby river.

すると、 だれ が おとして いった の か、
And then, although we don't know who dropped it,

草むら に 大きな にぎりめし が
in the grass there was a big rice ball

ごろん と ひとつ、 おちて いました。
(rolling sound), which had been dropped.

「これ は、 いい もの を みつけた よ。」
"This, what a good thing I found."

--

ふもと = foot (of mountain)
ぽかぽか = comfortably warm
ほとり = on
のんびり = relaxed
おとして = leave, drop, forget
くさむら = the bush, the grass, a thicket
にぎりめし = rice ball
ごろん と = a sound
おちる、おちます、おちて、落ちる = drop, fall
みつける、みつけます、みつけて、見つける = find

page 5

そこ へ、 さる が やって きました。
くいしんぼう の さる は、 にぎりめし を みる と、
ほしく なりました。
「かに さん。 にぎりめし より、 おれ が ひろった かき の たね の
ほう が、 いい よ。 にぎりめし は たべちゃえば なく なって
しまう けど、 かき の たね は 土(つち) に うめて そだてれば、
いくら でも おいしい み が なって、 たべられる から ね。」
さる の はなし を きく と、 かに は 「なるほど」 と
おもいました。 そして、 にぎりめし を かき の たね と
とりかえる と、 いえ に かえって 土 の なか に
うめました。

--

そこ へ、 さる が やって きました。
Then, a monkey approached.

くいしんぼう の さる は、 にぎりめし を みる と、
ほしく なりました。
When the greedy monkey saw the rice ball, he came to want it.

「かに さん。 にぎりめし より、 おれ が ひろった かき の たね の
ほう が、 いい よ。
"Ms. crab. The persimmon seed that I picked up is better than the rice ball.

にぎりめし は たべちゃえば なく なって しまう けど、
When you eat the rice ball it completely disappears but,

かき の たね は 土 に うめて そだてれば、
if you put the persimmon seed in the ground and grow it, then

いくら でも おいしい み が なって、
it comes to have as much delicious fruit as you like,

たべられる から ね。」
and you can eat them."

さる の はなし を きく と、 かに は 「なるほど」 と おもいました。
On hearing the moneky's story, "indeed" the crab thought.

そして、 にぎりめし を かき の たね と とりかえる と、
Then, she exchanged the rice ball for the persimmon seed, and,

いえ に かえって 土 の なか に うめました。
returned home and put it in the ground.

--

くいしんぼう = a glutton, greedy pig
おれ = I (me), used by males
ひろった = pick up
かき、柿 = a persimmon
たね = seed
ほう = use to compare, to refer to one thing
なく = not exist, a form of ない
なく なる = disappear, cease to exist
けど = though (to connect two phrases)
つち、土 = earth, soil
うめる、うめます、うめて、埋める = put ~ in the ground
そだてる、そだてます、そだてて、育てる = bring up, raise
いくら でも = as much as
み = fruit
きく = hear, listen
なるほど = I see, indeed
とりかえる、とりかえります、とりかえて、取り替える = change, exchange

page 6

はやく め を だせ かき の たね
ださぬ と はさみ で ほじくる ぞ
かに は うた を うたい ながら、 せっせと
水(みず) や こやし を やりました。
ほじくられて は たまりません。 かき の
たね は、 小(ちい)さな め を だしました。
はやく 木(き) に なれ かき の なえ
ならぬ と はさみ で ちょんぎる ぞ
め を だす と、 かに が うたいました。
きられて は たまりません。 かき の
なえ は、 すくすく 大きな
木 に なりました。

--

はやく め を だせ かき の たね
"Bud quickly persimmon seed

ださぬ と はさみ で ほじくる ぞ
if you don't I will dig you out with my pinchers"

かに は うた を うたい ながら、
while singing the song the crab,

せっせと 水 や こやし を やりました。
busily gave water and fertilizer.

ほじくられて は たまりません。
"I can't stand to be dug out." (seed's perspective)

かき の たね は、 小さな め を だしました。
The persimmon seed, sprouted a small bud.

はやく 木 に なれ かき の なえ
"Persimmon seedling quickly become a tree

ならぬ と はさみ で ちょんぎる ぞ
if you don't become, I will chop off with my pinchers"

め を だす と、 かに が うたいました。
the crab sang when she saw the bud sprout.

きられて は たまりません。
"I can't stand to be cut." (persimmon's perspective)

かき の なえ は、 すくすく 大きな 木 に なりました。
The persimmon seedling, quickly became a big tree.

--

め、芽 = bud
だす、だします、だして、出す = take out (of)
ださぬ = negation of だす
はさみ = pinchers
ほじくる、ほじくります、ほじくって = dig
せっせと = hard, busily
こやし = manure, fertilizer
やる、やります、やって = to give
たまらん = I can't stand
なえ、苗 = seedling, a young plant
ちょんぎる、ちょんぎります、ちょんぎって = dismiss, chop off
きる、きります、きって、切る = cut, chop
すくすく = fast, quickly

page 7

はやく み が なれ 赤(あか)く なれ
ならぬ と ねもと で ぶっきる ぞ
かに が また うたう と、 かき の 木 は、
たくさん 赤い み を つけました。

--

はやく み が なれ 赤く なれ ならぬ と ねもと で ぶっきる ぞ
"Quickly make fruit, make them red, if you don't make, I will chop your trunk"
かに が また うたう と、
the crab sang again, then

かき の 木 は、 たくさん 赤い み を つけました。
the persimmon tree made a lot of red fruit.

--

ねもと = the root, the base
ぶっきる、ぶっきります、ぶっきって = chop

page 8

かに は おおよろこび で、 かき の み を とって
たべよう と しました が、 木 に のぼれません。
そこ へ、 さる が やって きました。
「これ は みごと だ。 たくさん なった な。
どれ、 たべさせて もらおう。」
さる は するする 木 に のぼる と、
おいしく うれた かき の み を、
むしゃむしゃ たべ はじめました。
「さる さん。 じぶん ばかり たべて いないで、
わたし に も とって ください な。」
かに が はさみ を ふりふり いう と、
「うるさい な。 そんなら これ でも くえーー」
そう いって、 まだ 青(あお)い かたい かき の
み を、 かに に なげつけました。

--

かに は おおよろこび で、 かき の み を とって
たべよう と しました が、 木 に のぼれません。
The crab very happily tried to take and eat the fruit,
but she could not climb the tree.

そこ へ、 さる が やって きました。
Then, the monkey approached.

「これ は みごと だ。 たくさん なった な。
"This is wonderful. I see it bore a lot.

どれ、 たべさせて もらおう。」
Let's see, I think I will eat."

さる は するする 木 に のぼる と、
The monkey easily climbed the tree, and

おいしく うれた かき の み を、
むしゃむしゃ たべ はじめました。
(sound of devouring) began eating the delicious ripe persimmon fruit.

「さる さん。 じぶん ばかり たべて いないで、
"Mr. monkey. Please don't feed only youself,

わたし に も とって ください な。」
please pick some for me to."

かに が はさみ を ふりふり いう と、
Waving his pinchers the crab said, and

「うるさい な。 そんなら これ でも くえーー」
"Hmmm noisy. Then eat just this."

そう いって、
said that (the monkey), and

まだ 青い かたい かき の み を、 かに に なげつけました。
threw a still hard green (blue) persimmon fruit at the crab.

--

とる、とります、とって、取る = take
~よう と する = to try to ~
みごと、見事 = wonderful, beautiful
なる、生る = grow, bear
どれ = let's see
するする = smoothly, easily
うれる、うれます、うれて、熟れる = ripen
むしゃむしゃ = sound of devouring
ばかり = only, just, exclusively, always
ふる、ふります、ふって、振る = wave
ふりふり = waving
うるさい、煩い = noisy
そんなら = それなら = if so, then
くえ = くう、くいます、くって、食う = eat (impolite)
かたい、固い = hard
なげつける、なげつけます、なげつけて、投げつける = throw at

page 10

ぐじゃっ。
かたい かき の み は、 せなか に
あたって、 かわいそうに かに は
つぶれて しまいました。
すると、 しんだ かに の
おなか から 小さな 子(こ)がに たち が、
なん 十(じっ) ぴき と うまれて、
かさこそ かさこそ でて きました。

--

ぐじゃっ。
(sound of crab being smashed by the fruit).

かたい かき の み は、 せなか に あたって、
The hard persimmon fruit, hit the back, and

かわいそうに かに は つぶれて しまいました。
the poor crab was smashed.

すると、 しんだ かに の おなか から 小さな 子がに たち が、
なん 十 ぴき と うまれて、
かさこそ かさこそ でて きました。
Then, tens of little baby crabs were born from the dead crab's belly,
and came out with a rustling sound.

--

あたる、あたります、あたって、当たる = hit
つぶれる、つぶれます、つぶれて、潰れる = crushed, smashed
しまう、しまいます、しまって、仕舞う = finish, put away (used for bad results)
かさこそ = rustle

page 11

「かあさん が、 しんじゃった よ。」
「かあさん が、 さる に
ころされちゃった よ。」
子がにたち は、 小さな はさみ を
ふりあげ、 なみだ を ながし ながら
ないて いました。

--

「かあさん が、 しんじゃった よ。」
"Mother died!" (babies said)

「かあさん が、 さる に ころされちゃった よ。」
"Mother was killed by the monkey!"

子がにたち は、 小さな はさみ を ふりあげ、
なみだ を ながし ながら ないて いました。
The baby crabs were crying, with their pinchers raised,
and shedding tears.

--

ころす、ころします、ころして、殺す = kill
あげる = raise
ふりあげ = way of raising
なみだ = tears
ながす = shed (tears)
なく、なきます、ないて、泣く = cry

page 13

「どう した。 どう した。 なぜ ないて いる ん だ ね。」
ぶーんと、 大きな はち が とんで きて、
たずねました。
「かあさん が、 さる に ころされちゃった ん だ よ。」
子がに たち が いう と、
「どう した。 どう した。 なぜ ないて いる ん だ。」
こんど は ころころ くり が ころがって きて、
いいました。

--

「どう した。 どう した。 なぜ ないて いる ん だ ね。」
"What happened? What happened? Why are you crying?"

ぶーんと、 大きな はち が とんで きて、 たずねました。
Buzz, the big wasp came flying and asked.

「かあさん が、 さる に ころされちゃった ん だ よ。」
"The mother was killed by the monkey!"

子がに たち が いう と、
The baby crabs said, and next,

「どう した。 どう した。 なぜ ないて いる ん だ。」
"What happened? What happened? Why are you crying?"

こんど は ころころ くり が ころがって きて、 いいました。
(rolling sound) a chestnut came rolling and said.

--

どう した = what happened
ぶーんと = sound of flying (wasp)
はち、蜂 = bee or wasp
とぶ、とびます、とんで、飛ぶ = fly
たずねる、たずねます、たずねて、尋ねる = ask
ころころ = sound of something light rolling
くり、栗 = chestnut
ころがる、ころがります、ころがって、転がる = roll

page 14

「あの さる は ずるくて、 わるさ ばかり して いる ん だ。
なんとか しなければ な。」
くり が いう と、 ぺったん ぺったら うし の ふん が、
やって きました。
「さる を こらしめる ん なら、 おれ も てだすけ する よ。」
「ようし。 みんな で さる の いえ へ いこう。」
はち と くり と うし の ふん が、 こえ を あげる と、
どしん どしん と じめん が ゆれて、
石(いし)うす が やって きました。
「おれ も なかま に いれて くれ。」
石うす は 大きな こえ で、 いいました。

--

「あの さる は ずるくて、 わるさ ばかり して いる ん だ。
"That monkey is sly, and is always doing mischief.

なんとか しなければ な。」
Shouldn't we do something?"

くり が いう と、
Said the chestnut, and,

ぺったん ぺったら うし の ふん が、 やって きました。
(sound of hitting soft thing) a cow dropping approached.

「さる を こらしめる ん なら、 おれ も てだすけ する よ。」
"If you punish the monkey, I also want to help!"

「ようし。 みんな で さる の いえ へ いこう。」
"Alright! Let's all go to the monkey's house."

はち と くり と うし の ふん が、 こえ を あげる と、
The wasp and chestnut and cow dropping, shouted together, and,

どしん どしん と じめん が ゆれて、
(sound of heavy thing hitting something) and the ground trembled, and

石うす が やって きました。
a big stone mortar approached.

「おれ も なかま に いれて くれ。」
"Please let me join in."

石うす は 大きな こえ で、 いいました。
The stone mortar said in a big voice.

--

ずるい = cunning, sly
わるさ、悪さ = mischief
ばかり = always
なんとか = somehow, manage to
し is from する
ぺったん = sound of hitting soft thing
こらしめる、こらしめます、こらしめて、懲らしめる = give ~ a lesson, punish
どしん = sound of very heavy thing hitting something
じめん、地面 = the ground
ゆれる、ゆれます、ゆれて、揺れる = tremble
いしうす、石うす = big stone mortar
いし、石 = stone
うす、臼 = mortar
なかま、仲間 = company, join in
いれる、いれます、いれて、入れる = admit, let in
~て + くれ = to ask (a favor)

page 16

子がに たち は、 かしゃかしゃ
はさみ を ならして、 すすみます。
その あと に、 くり と 石うす が、
つづきます。

--

子がに たち は、 かしゃかしゃ はさみ を ならして、 すすみます。
The baby crabs made a kashakasha sound with their pinchers, and went forward.

その あと に、 くり と 石うす が、 つづきます。
After them, the chestnut and stone mortar followed.

--

かしゃかしゃ = sound of something hard or dry, but light, hitting together
ならす、ならします、ならして、鳴らす = make sound with something
すすむ、すすみます、すすんで、進む = go forward, advance

page 17

うし の ふん は、 ぺったん ぺったら
あるきます。
はち は ぶんぶん みんな の 上(うえ) を
とんで、 さる の いえ へ むかいました。

--

うし の ふん は、 ぺったん ぺったら あるきます。
The cow dropping walked making a pettan pettara sound.

はち は ぶんぶん みんな の 上 を とんで、
さる の いえ へ むかいました。
The wasp flew bunbun above everybody, and
left for the monkey's house.

--

むかう、むかいます、むかって、向かう = leave for

page 19

「さる は いない ぞ。 るす だ ぞ。
いえ の なか は、 いろり の 火(ひ) が
とろとろ もえて いる だけ だ。」
みんな で 草(くさ)むら に かくれて
まって いる と、 ようす を み に
いった はち が、 もどって きて
いいました。
「しめた ぞ。 それ なら いえ の なか に
みんな で かくれて、 さる が
かえって くる の を まつ ん だ。」
大きな 石うす が さくせん を
たてました。

--

「さる は いない ぞ。 るす だ ぞ。
"The monkey's not home. He is out.

いえ の なか は、 いろり の 火 が
とろとろ もえて いる だけ だ。」
Only a fire is burning torotoro in the fireplace inside the house."

みんな で 草むら に かくれて まって いる と、
Said the wasp who went to scout and returned, while everyone hid themselves and waited in the grass,
ようす を み に いった はち が、 もどって きて いいました。


「しめた ぞ。
"Good!

それ なら いえ の なか に みんな で かくれて、
さる が かえって くる の を まつ ん だ。」
Then everyone hide themselves in the house,
and wait for the monkey to return."

大きな 石うす が さくせん を たてました。
The big stone mortar made the strategy.

--

るす、留守 = absence, be out, be not in
いろり = a fireplace
とろとろ = sound of small slow fire
もえる、もえます、もえて、燃える = burn
かくれる、かくれます、かくれて、隠れる = hide (oneself)
ようす、様子 = situation
ようす を みる = scouting, or, wait and see
もどる、もどります、もどって、戻る = return
しめた = good!
さくせん = tactics, strategy
たてる、たてます、たてて、立てる = make

page 20

くり は、 いろり の はい の なか に
もぐりこみました。
はち は、 みそ の おけ の なか に かくれました。
こがに たち は、 ぞろぞろ 水 の かめ の
なか に、 はいって いきました。
うし の ふん は、 いえ の でぐち に
ぺたん と ねころびました。
さいご に、 石うす が、
よいこらしょ と てんじょう の
はり の うえ に
のぼって いきました。

--

くり は、 いろり の はい の なか に もぐりこみました。
The chestnut dove into the ash in the fireplace.

はち は、 みそ の おけ の なか に かくれました。
The wasp hid inside of the miso tub.

こがに たち は、 ぞろぞろ 水 の かめ の なか に、
はいって いきました。
The baby crabs zorozoro entered into the earthenware water pot.

うし の ふん は、 いえ の でぐち に ぺたん と ねころびました。
The cow dropping laid down petan in the exit of the house.

さいご に、 石うす が、
Finally the stone mortar,
よいこらしょ と てんじょう の はり の うえ に のぼって いきました。
"yoikorasho" climbed up on top of the ceiling beam.

--

はい、灰 = ash
もぐりこむ、もぐりこみます、もぐりこんで = dive
みそ、味噌 = soybean paste
おけ、桶 = a tub, a pail
かめ、瓶 = a jar, an earthenware pot, a jug
ぞろぞろ = in great numbers, sound of large numbers of something moving
ねころぶ、ねころびます、ねころんで、寝転ぶ = lie down
よいこらしょ = sound old people say when standing up
てんじょう、天井 = ceiling
はり、梁 = beam
のぼる、のぼります、のぼって、登る = climb up

page 23

「おお、 きゅうに さむく なって きた なあ。」
さる は ゆうがた に なって、 いえ に
もどって きました。
おしり が つめたい ので、 いろり の 火 を
かきまわして、 おしり を あぶりました。
その とき です。
ぱぱーん!
くり が はぜて、 さる の おしり に
とびつきました。
「あち、 あちちちち......」
さる は とびあがって、 やけど に きく
みそ を ぬろう と、 いそいで みそ の
はいった おけ の ふた を あけました。

--

「おお、 きゅうに さむく なって きた なあ。」
"Ooo, suddenly it is getting cold."

さる は ゆうがた に なって、 いえ に もどって きました。
The monkey came back when it became early evening.

おしり が つめたい ので、 いろり の 火 を かきまわして、
おしり を あぶりました。
His rear was cold so, he stirred the fire in the fireplace, and
and warmed his rear.

その とき です。
At that time.

ぱぱーん!
Papaaan!

くり が はぜて、 さる の おしり に とびつきました。
The chestnut popped and jumped at the moneky's rear.

「あち、 あちちちち......」
"Achi, Achichichichi..."

さる は とびあがって、 やけど に きく みそ を ぬろう と、
The monkey jumped up and, in order to apply miso which is effective for the burn,

いそいで みそ の はいった おけ の ふた を あけました。
quickly opened the lid of the tub containing the miso.

--

きゅうに、急に = suddenly
ゆうがた = early evening (5-7 pm)
ので = becasue, so
かきまわす、かきまわします、かきまわして、かき回す = stir, churn
あぶる、あぶります、あぶって = broil, toast, warm, dry
はぜる、はぜます、はぜて = pop
とびつく、とびつきます、とびついて、飛びつく = jump at
とびあがる、とびあがります、とびあがって、飛びあがる = jump up
やけど = burn
きく = effective
ぬる、ぬります、ぬって、塗る = paint, apply
ふた = lid

page 24

すると、 おけ の なか に かくれて いた
はち が とびだして きて、
ぷすっ!
と、 はり で さる の おでこ を
さしました。
「あいたたた......」

--

すると、 おけ の なか に かくれて いた はち が とびだして きて、
ぷすっ!
Then, the wasp hidden in the tub came flying, pusu (sound of a needle prick)!

と、 はり で さる の おでこ を さしました。
and stung the monkey's forehead with his stinger.

「あいたたた......」
"Aitatata..."

--

すると = then
はり = needle, stinger
おでこ、でこ = forehead
さす、さします、さして、刺す = sting

page 25

さる は おでこ と おしり を おさえ ながら、 水 で
ひやそう と、 水がめ の ふた を あけました。
「かあさん の かたき だ。 それっ!」
こんど は 子がに たち が はさみ を ふり
あげて、 さる の からだ に とびつきました。

--

さる は おでこ と おしり を おさえ ながら、 水 で ひやそう と、
水がめ の ふた を あけました。
While holding his forehead and rear, in order to cool himself with water,
he opened the lid of the water jar.

「かあさん の かたき だ。 それっ!」
"The enemy of my mother. Let's go!"

こんど は 子がに たち が はさみ を ふり あげて、
さる の からだ に とびつきました。
Next the baby crabs raised their waving pinchers,
and jumped at the monkey's body.

--

おさえる、おさえます、おさえて、押さえる = press, hold, press down
ひやす、ひやします、ひやして、冷やす = cool (something down)
かたき = an enemy

page 26

「なに を する。 なに を する ん だーー」
さる は、 子がに たち を ふりはらおう と しました。
けれども、 子がに たち は はなれません。
ところ かまわず、 はさみで さる の からだ を
つまみました。
「いたい。 いたい。 たすけて くれーー」
さる は なきごえ を あげて、
にげまわりました。

--

「なに を する。 なに を する ん だーー」
"What are you doing. What are you doing!"

さる は、 子がに たち を ふりはらおう と しました。
The monkey tried to shake off the baby crabs.

けれども、 子がに たち は はなれません。
But, the baby crabs wouldn't come off.

ところ かまわず、 はさみで さる の からだ を つまみました。
Everywhere, they pinched the monkey's body with their pinchers.

「いたい。 いたい。 たすけて くれーー」
"It hurts. It hurts. Please help!!"

さる は なきごえ を あげて、 にげまわりました。
The monkey ran around giving a cry.

--

ふりはらう、ふりはらいます、ふりはらって、振り払う = shake off
はなれる、はなれます、はなれて、離れる = part (from), leave
ところ かまわず = everywhere (regardless of where)
つまむ、つまみます、つまんで = pinch
なきごえ = crying voice
にげる、にげます、にげて、逃げる = run away, escape
まわる、まわります、まわって、回る = go around

page 29

やっと の こと で、 こがに たち を ふりはらう と、 さる は
ころげる ように いえ から でて いこう と しました。
ところが、 でぐち の ところ で、 うし の ふん を ふみつけ、
つるりん と すべって ひっくりかえって しまいました。
「いたた、 いたた......。 おれ の いえ は どう なって いる ん だ......」

--

やっと の こと で、 こがに たち を ふりはらう と、
Finally he shook off the baby crabs, and

さる は ころげる ように いえ から でて いこう と しました。
the monkey tried to go out of the house, as if rolling.

ところが、 でぐち の ところ で、 うし の ふん を ふみつけ、
つるりん と すべって ひっくりかえって しまいました。
But, at the exit, he stepped on the cow dropping,
tsururin (sound slipping on smooth surface), he slipped and fell down on his back.

「いたた、 いたた......。
"Itata, itata...

おれ の いえ は どう なって いる ん だ......」
What is going on in my house!"

--

やっと の こと で = finally, with a big effort
ころげる = roll
ように = just like
おう と する = to try to do (the verb)
ところが = but
ふみつける、ふみつけます、ふみつけて、踏みつける = step on
すべる、すべります、すべって、滑べる = slip
ひっくりかえる、ひっくりかえります、ひっくりかえって、ひっくり返る =
fall down on one's back

page 31

「よくばり さる め。 にがす もの かーー」
さいご は てんじょう の はり の うえ から、
おもい 石うす が、 いきおいよく とびおりて
きた から たまりません。
「うーん。」
さる は 目(め) を むいた まま ぺちゃんこ。
せんべい の ように のびて しまいました。
ーー「さるかに」 の おはなし、 これ で おしまい。

--

「よくばり さる め。 にがす もの かーー」
"Such a greedy monkey. I would not let you go."

さいご は てんじょう の はり の うえ から、
おもい 石うす が、
いきおいよく とびおりて きた
から たまりません。
And last, from on the ceiling beam,
the heavy stone mortar,
came jumping down with force,
which the monkey could not bear.

「うーん。」
"Uuunn."

さる は 目 を むいた まま ぺちゃんこ。
With eyes peeled open the monkey was flattened.

せんべい の ように のびて しまいました。
He was extended like a rice cracker.

ーー「さるかに」 の おはなし、 これ で おしまい。
Here the Sarukani story ends.

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よくばり = greedy
にがす、にがします、にがして、逃がす = let go, set free, release
いきおいよく = powerfully
とびおりる、とびおります、とびおりて、飛び降りる = jump down
たまらない = unbearable
むく、むきます、むいて = open (eye)
まま = while
ぺちゃんこ = be flat
せんべい = rice cracker
のびる、のびます、のびて、延びる = extend

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